本年度開発中のチップ船向けクレーン部分自動運転装置の実証試験を今月10日完了した。大島造船所と日本郵船の協力を得て、同造船所で建造中の木材チップ専用船に同装置を搭載して実施。ホールド内部でのグラブの揺れや通信状況などが課題となったが、実験ではいずれも問題なく稼働することを確認し、世界初のチップ船ジブクレーン自動運転実用化に向けて大きく前進した。2021年度後半の実用化を目指す。
木材チップのクレーン荷揚げは、貨物倉の木材チップを専用グラブでつかみ、巻き上げ、上甲板に設置されているホッパーに投入する繰り返し作業。運転者は通常、昼夜交代で作業し、1つのクレーンで2ホールド同時荷揚げを行う場合は約3000回もの繰り返し作業を行う。同社はこれらの荷役作業のうち、中層部の単純で繰り返しの多い作業を、運転者の監視の下で自動化する機能をクレーンに搭載して運転者の負荷低減につなげる。同自動運転装置の開発で、単純作業のうち7~8割が自動化すると見込む。
新開発の自動運転装置は、グラブに装着した3つのセンサーで荷の表面を検知して信号をクレーンに無線送信、グラブが下降し、荷表面に近づくとスピードを落として着地する仕組みだ。また、モヤの発生で荷の表面を目視できないケースを想定し、3つのセンサーで荷の傾斜を検知して、傾斜が過剰である場合はグラブが転倒しないよう着地操作を行うグラブ転倒防止機能も装備。ホッパー満載時はチップ投入を一旦停止しなければならないが、自動運転中はセンサーでホッパーの状態を監視し、自動で待機する機能も持たせた。
チップクレーン実証試験KTN報道
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